実施事業

「2022ぐんまの家」設計・建設コンクール

「ぐんまの家」設計・建設コンクールは、群馬県及び群馬県ゆとりある住生活推進協議会の主催、住宅金融支援機構の共催で昭和62年から実施し、令和4年度で35回目となりました。
今年度は、『近年の人口減少・少子高齢化といった、社会構造の変化に伴い生じている「住生活に関する課題」などの社会的な課題や、県産木材の積極的な活用による持続可能な地域づくりに向けた活動など、県民の安全で安心な暮らしや快適で豊かな生活環境を創造するための取組を行い、良質で住み良い群馬県内に建設された住宅を表彰し、広く県民に紹介することにより、県民の住宅に関する関心を高め、居住水準の向上及び住環境の改善を図ることへ寄与すること』を目的として募集を実施し、新築部門に36点、リフォーム、空き家・古民家再生部門に1点、計37点の応募をいただきました。

受賞作品一覧

住宅名称設計者施工者
最優秀賞うずらの家株式会社半田雅俊設計事務所館林林業株式会社
優秀賞さんかく屋根の未来の古民家ミヤデザイン有限会社宮島工務店
優秀賞千代田の家株式会社ライブ環境建築設計有限会社安松託建
特別賞
(住宅金融支援機構賞)
プライバシーと開放感を
両立した中庭のある平屋の家
株式会社関工務所株式会社関工務所
優良賞シンプルで和モダンな平屋株式会社関工務所株式会社関工務所
優良賞サクラベンチノイエほしかわ工務店設計室ほしかわ工務店株式会社
優良賞温故知新の家一級建築士事務所
野積基子設計室
野積建設株式会社
優良賞HP-61 三俣町の町家
(通り土間を持つ家)
WOOD’S環境計画工房株式会社津久井工務店
優良賞しかんのいえAtelier N株式会社関工務所
優良賞生物建築舎建築舎四季株式会社
優良賞大きな屋根と中庭のある家有限会社HIRO建築工房阿部工務店

審査委員長総評

「2022ぐんまの家」の審査結果の総評をさせていただきます。
近年の建築界では、木造建築に熱いまなざしが向けられています。その先鞭をきった木材使用を進める制度の「ぐんまの家」設計・建設コンクールは、群馬の高品質な家づくりと地域経済の活性化策に、また、近年は地球温暖化対策として重要な位置を占めています。
今回は37点の応募があり、平屋と2階建てが概ね半々となっており、群馬の敷地環境はかなり良いと感じました。
第一次の書類審査では、設計趣旨、施主の満足度、適切な価格などを中心に審査を行い、11点を選びました。
第二次審査では、直接現場に出向き、出来栄えだけでなく建築主から直接建物について話を聞き、より厳格な審査を行いました。
良い住宅を造るには、建築主・建築設計者・建築施工者の協力が不可欠であります。
この程の建築主の要望(夢)としては、個の時代を反映してプライバシーを重視し、自然素材を求め、あかるい通風の良い間取りで、収容力も大きい、また、カフェのような非日常的な生活を楽しめ、さらに、その地域の景観にあった建物づくりなど様々なものがありました。
これらを考慮し、最優秀賞1点、優秀賞2点、特別賞(住宅金融支援機構賞)1点、優良賞7点を選定いたしました。
住宅の概念に一石を投じる取組や理論を具現化すべく挑戦しているもの、テーマにこだわり追求したものなど全体に質が高く実力伯仲しており甲乙つけがたい状況で選定に大変苦労いたしました。
最優秀賞の「うずらの家」は新型コロナにより在宅でのテレワークにも対応できるスペースをもち、ディテール(詳細部)にこだわりを持ったバランスのとれた住宅でした。
優秀賞の「さんかく屋根の未来の古民家」は、居間の中央に昔の家にあった大黒柱をしつらえ構造的にも頼りになる建物で、木にこだわり職人の手作りの温かさを感じる住宅でありました。「千代田の家」は密集地に建っていることから光を取り込む工夫と天井面をフルフラットにすることにより、内部空間の連続性を持たせる工夫をしていました。また、建物外部廻りには下家を配置し道路を通る人との一体感を創出し街の景観に溶け込んでいる住宅でした。
特別賞の「プライバシーと開放感を両立した中庭のある平屋の家」は、生活を楽しみながら、個の時代のプライバシーを重視した動線がしっかりした家でありました。どの家も非常に優れた興味あふれる住宅でありました。
むすびに、群馬の住まい造りの発展を陰で支えていただいている事務局の方々に感謝しつつ、総評とさせていただきます。

「2022ぐんまの家」設計・建設コンクール 審査委員長
一般社団法人 日本建築学会関東支部群馬支所 大冢 義樹

受賞作品紹介

最優秀賞
「うずらの家」

審査委員長総評

敷地は周辺に川や古墳群があり、田畑が広がる郊外の住宅地。南北にやや長くゆったりとした区画に平家の車庫を北東に建物を中心に置き南と北に庭を設け十分な大きさの開口部を設けてもプライバシーを確保可能な敷地である。
奇をてらわず、平面、断面ともコンパクトに纏めながら、細部まで丁寧に計画され造りこまれており、明るく開放的でおおらかな暮らしを創造させる住まいとして、総合的に高評価となった。
どの室も決して広くはないが、建具の開放性や家具の配置を綿密に計画し、特に1階動線は回遊可能となり面積以上の広がりを創出している。
また、開放的なプランは南北の大きな開口部や吹き抜けを介して通風を生み出し、深い軒による日射遮蔽も十分に満たしていることで、高騰するエネルギーを使わずとも快適に過ごせるエコ住宅としても評価すべきである。
内外装ともに材料の素地の色のままに仕上げられ、力まず自然体で居られる気持ちの良い空間であった。

優秀賞
「さんかく屋根の未来の古民家」

優秀賞
「千代田の家」

特別賞(住宅金融支援機構賞)
「プライバシーと開放感を両立した中庭のある平屋の家」

優良賞
「シンプルで和モダンな平屋」

優良賞
「サクラベンチノイエ」

優良賞
「温故知新の家」

優良賞
「HP-61 三俣町の町家(通り土間を持つ家)」

優良賞
「しかんのいえ」

優良賞
「門」

優良賞
「大きな屋根と中庭のある家」